摂食障害

一般に「拒食症」や「過食症」と言われる「食行動の異常」によって社会生活に支障をきたしているという病気です。中でも拒食症はどんどん痩せていくために、死の危険を伴う病気です。


一時欧米では社会問題となり国をあげて予防に力を注いだ時期もありましたが、近年日本でも増加傾向が強まる一方かつ低年齢化が加速度を増し、90%以上が女性という「女性特有の病気」とも言える病気です。


拒食症には「食べることができないもの」と「過食後自発的に嘔吐してしまうもの・下剤などを使用して排出するもの」とがあります。過食症の過食は、その後に嘔吐などの排出を伴わず太っていくものと、嘔吐などの自発的に排出するものがあります。拒食症の過食嘔吐と、過食症の過食嘔吐・・・食行動としては同じですが、それは体重で決まります。


拒食症においては、過剰なダイエットが引き金になる場合がほとんどであることから、「食欲」という本能に意志で逆らうことができる、つまりは「極端なほどの頑張り屋さん」に多い印象です。


一般的には「見た目への拘り」とか「強迫的な努力」から「自分に自信のない人」=「親からの愛情不足」と言われてもいますが、私はそうは思っていません。


なぜかこちらでは摂食障害のお客様からのご依頼が非常に多く、多くの患者さんとかかわってきた経験からも、そうとは言い切れないことを実感しています。


体重の減少が著しい場合は入院治療を勧め医療機関にご紹介いたしますが、そこまではギリギリ回避しているといった場合は、そこに合わせて心理教育・心理療法を行います。当事者が若年女子である場合、ご家族へのご説明やカウンセリングも行います。


この疾患は、一旦体重が戻り回復をみせた期間があっても、再発を繰り返すことの多いのが特徴なので、「治った状態」とか「ゴールの設定」が非常に重要です。
また、摂食障害に直接効くお薬があるわけではありませんので、この疾患に関しては心理療法での治療が功を奏します。